アイスランドのポスト・ロックバンド、Sigur Rosが今年3月にスタートさせた映像プロジェクト“シガー・ロスの世にも奇妙な映像実験(Mistery Film Experiment)”。これまでにつくられた16作品が、DVD『Valtari Mystery Film Experiment』として、来年3/5にリリースされることが決定しました! 今回は海外版のみですが、日本でもリリースされることを待ちましょう! DVDには、16作品のほか、3本のメイキング映像も収められるとのこと。さらに、海外のiTunesでは2/5から配信される予定です。

今回の企画は、12人の映画作家に同じ予算を渡し、アルバム『Valtari』から感じたものを作品として形にしてもらうという、大胆なプロジェクト。バンドのミュージック・ビデオを手がけてきたArni & Kinski、疾走する裸体が話題を呼んだ前作『残響』のアートワークや「Gobbledigook」のビデオ監督を務めた米写真家のRyan McGinley、映画「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」で知られるJohn Cameron Mitchell監督など、かなり個性豊かな面々が顔をそろえました。12人の参加者は、お互いがどのような作品に取り組んでいるのか秘密の上で取り組んだとか。一般からのコンペティションとして、作品も募っていました。

Ragnar Kjartansson監督が担当した「Ég anda」からスタートし、先日第16弾「Leaning Towards Solace」が発表され、全16作品が出揃いました。同ビデオはアメリカの若手女優、Elle Fanning(Dakota Fanningの妹!)と俳優のJohn Hawkes、第3弾の「fjögur píanó」は「トランス・フォーマー」シリーズのShia LaBeoufがエキセントリックな役どころで出演していたりと、なにかと注目を集めていました。とても豪華。

<収録作品&ビデオ・リスト>
■introduction:「Ekki múkk」by Inga Birgisdóttir

■#1:「Ég anda」by Ragnar Kjartansson


監督のRagnar Kjartanssonは、『Valtari』とバンドのフロントマン、Jónsiのソロ・アルバム『GO』のアートワークを担当してきたおなじみのアーティスト。

■#2:「Varúð」by Inga Birgisdóttir


アート、音楽、演劇など様々な表現活動を行うパフォーマンス・アーティストのInga Birgisdóttir。2009年にイタリア・ヴェニスで開催されたビエンナーレのアイスランド代表に選出されています。

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■#3:「Fjögur píanó」by Alma Har’el


イスラエル・テルアビブ出身の女流監督、Alma Har’el。いくつものミュージック・ビデオを手がけており、ドキュメンタリー作品「Bombay Beach」が、トライベッカ・インターナショナル映画祭2011で“ベスト・ワールド・ドキュメンタリー”賞をはじめ、いくつもの映画祭で脚光を浴びている注目の映像作家です。今回のビデオには、アメリカの俳優でコメディアンのShia LaBeouf(「トランスフォーマー」シリーズ、「インディー・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」)、ダンサーで女優のDeena Thomsenが出演。「Bombay Beach」を見たLaBeoufからのアプローチで、このタッグが実現したとか。破滅的な愛を映し出します。

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■#4:「rembihnútur」by Arni & Kinski


監督は、アイスランド人ディレクターのArni & Kinski。これまでにも、Sigur Rósの「Vidrar vel til loftárása」 「Glosoli」「Hoppipolla」「Gobbledigook」のミュージック・ビデオを手がけています。

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■#5:「ég anda」by Ramin Bahrani


批評家のRoger Ebert氏が「この10年を代表する監督」と絶賛するアメリカの監督で脚本家のRamin Bahrani。2007年のカンヌ映画祭に出品された「Chop Shop」をはじめ、2009年ヴェネチア国際映画祭・トロント映画祭などに出品された「Plastic Bag」、「At Any Price」で知られています。

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■#6:「varúð」by Ryan McGinley


アメリカの映像作家で写真家のRyan McGinley。ホイットニー美術館で単独ショーを行った最年少アーティストとして知られますね。バンドの前作『残響』のジャケット写真(草原に裸体が走る)が有名ですね!

■#7:「Varðeldur」by Melika Bass


メガホンをとったMelika Bassは、シカゴ出身の女性フィルムメイカーで、16ミリフィルムにこだわり独特のゴシック調の作品が特徴的。オフィシャル・サイトで紹介されてほかの映像も独創的ですばらしいです。

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■#8:「Dauðalogn」by Henry Jun Wah Lee


世界をまたにかけるフィルムメイカー/写真家で、漢方開業医という意外な顔を持つHenry Jun Wah Lee。アート、自然、医学に傾ける情熱が活力を取り戻す、という思いから多岐にわたる活動をしているそう。今作は「自然へのスピリチュアルかつ瞑想的な旅」と説明していますが、撮影場所はなんと日本の屋久島を選択。島が放つ独特の美しさと時にバランスを崩してしまう人間と自然の関係を表現していることから、決定したそうです。「昔から自然はインスピレーションの源でした。私たちの起源は自然です。現代においてもそのエネルギーはわたしたちの血管に流れています。自然の中にいると美しい場所、浸る場所、学ぶ場所、心と魂と繋がる場所など自分たちの祖先が見ていた世界を見られる」とコメントしています。

■#9:「seraph feat. rembihnútur and ekki múkk」by Dash Shaw & John Cameron Mitchell


Dash ShawとJohn Cameron Mitchellがタッグ組んだ同ビデオ。「bodyworld」「Bottomless Bellybutton」「The Mother’s Mouth」「GardenHead」で知られるShawは、グラフィック作家、アニメーター、漫画家として活躍中。Mitchellは、言わずもがな映画「ヘッドウィグ・アンド・アングリー・インチ」の監督です。

■#10:「ekki múkk」by Nick Abrahams


映像作家のNick Abrahamsは、バンドの前作『残響』をはじめ、Stereolab、Manic Street Preachersなど多くのミュージシャンの作品で映像監督を務めています。現在、初の長編映画『News from Nowhere』を製作中とのこと。

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■#11:「Dauðalogn」by Ruslan Fedotow


ファンによるコンペティション投票の最優秀作品「people’s choice winner」。

■#12:「fjögur píanó」by Anafelle Liu, Dio Lau And Ken Ngan


監督:Anafelle Liu, Dio Lau And Ken Ngan
バンドによるコンペティション投票の最優秀作品「overall winner」。

■#13:「varðeldur」by Clare Langan


写真や映画、ビデオ・インスタレーションなどを行うアイルラドの女性アーティスト、Clare Langan。ニューヨークのMOMA美術館、ロンドンのTate美術館、ビエンナーレなどで注目を集めています。バンドとのタッグは、「í gæ」に続き2回目。

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■#14:「Valtari feat. ekki múkk, Valtari, rembihnútur & varúð」by Christian Larson

Sigur Rós: Valtari on Nowness.com.


メガホンをChristian Larson
ドラム、ダンス、映像、スケートボードをして育ったため、リズミックな映像で定評があるスウェーデン出身のアーティスト。森山未來出演さく「テ ヅカ TeZukA」で知られる、振付師のSidi Larbi Cherkaouiが振付を担当しています。

■#15:「varúð」by Björn Flóki


アイスランド出身の弱冠30歳の映像作家、Björn Flóki。2000年4月からSigur Rosのオフィシャル・サイトをバンドと共同制作し、現在も共同管理中。「『Valtari』を聴いたときに、寂しさと美しさ、闇と光の狭間のオーバーラップし、葛藤を感じとりました。どうしようもなく闇に沈んでいく感覚でありながら、必死になればかろうじて光へと逃げることができる感覚を映像にしようと試みた」と語っています。

■#16:「Leaning towards solace feat. dauðalogn & varúð」by Floria Sigismondi


イタリア出身の写真家、Floria Sigismondi。Kristen StewartとDakota Fanningがダブル主演した「ランナウェイズ」(2010)でメガホンを撮ったほか、David Bowie、Björk、The Cure、The White Stripes、Katy Perry、Marilyn Mansonらのミュージック・ビデオで知られています。Sigur Rosの「()untitled#1」も手がけています。今回のビデオは、Fannin姉妹の妹Ella FanningとJohn Hawkesが出演し、「Ella Fanningが演じる少女サラと死に直面しているJohn Hawkesが演じるその父親のストーリー」に仕上げました。「Sigur Rosの音楽を聴くといつも感情的になる」というSigismondiは、「経済破綻した荒れた土地を舞台に、命が終わりゆく無力感の中で冷静さを保つ様子を描いているが、悲しみだけでなく、希望や愛、恐れから脱却、心身の再生も表現している。同じ魂でありながら違った役割をもってタイムトラベルするような概念を表している」と説明しています。

“シガー・ロスの世にも奇妙な映像実験”特設サイト