英国マンチェスターといえば、1980年代の一代ムーブメント”マッドチェスター”や、New OrderやThe Stone Rosesらの大御所からBlur、Oasis、RadioheadといったUKシーンを築き上げてきたロック・バンドを生み出した地として知られています。一言でいってしまえば、由緒正しき伝統の地! しかし、そんなマンチェスターから現れたEgyptian Hip Hopは、柔軟でユニークなサウンドのシングル『Wild Human Child/Heavenly』で一躍注目を浴びました。WITCでは、あらゆる可能性を秘めた”マンチェスター新世代”として注目のEgyptian Hip Hopにメールインタビューを敢行! 『Wild Human Child/Heavenly』のリリース以降、表舞台からは姿を消したこの2年間、バンドが描くサウンドの理想像など話を聞きました。

Artist:Egyptian Hip Hop
Interview:Mio Yamada & Shoko Fukuda
Text:Mio Yamada

――マンチェスターはマッドチェスターなどのムーブメントや、ロックバンドといった音楽にゆかりがある地ですが、4人とも幼いころから音楽を志していたのでしょうか? 結成の経緯とそれぞれの音楽面でのバック・グラウンドも教えてください。

Alexander Hewett:Alex(Dr)は15歳くらいからバンドをやってて、結構音楽に詳しかったね。みんな音楽は好きだったけど、キャリアがあったのはAlex とNick(Gt&Ba)くらいかな。NickはJohnny Marrの息子と12歳くらいからバンドをやってたからね。みんながどう思ってるのかわからないけど、僕はそんなこと全然考えてはなかったけど……でも若い時は誰しもロックミュージシャンになることを夢見るもんじゃないのかな。

――「Egyptian Hip Hop」というバンド名はどこから? マンチェスターともロックバンドとも結びつかない名前で、“マンチェスターに縛られない”というような自由さが感じられたのですが。あなたたちにとって、マンチェスターとはどのような土地でしょうか?

Alexander:バンド名を付けた時はただ面白いからって言う感じでつけたんだけど、でも考えてみたら結構バンドの哲学がそこにあるかなって思えてきたんだ。だってこんな名前でこういう音楽だったらどんな音楽性にでもなれるでしょ? きっとどんな音楽なんだろうって思うだろうし、ヒップホップかと思われるよね(笑)。

――BBCでのピックアックをはじめ、「Egyptian Hip Hop」は10代の若さで海外からの注目も集めました。2010年以前とそれ以降で、自分たちを取り巻く環境や音楽と向き合う姿勢において変化したことはありましたか?

Alexander:うん、変わったと思うよ。ただ急に変わったというより、徐々に変わっていった感じがするね。

――それからの2年間は表立った活動がありませんでしたが、音楽面とそれ以外の面で、どのように過ごされていたのでしょうか?

Alexander:アルバム制作をしていたんだよ。まずはアルバムをつくるための準備をしていて、その後は曲を書いたり完成させたりっていうことをしていて、たくさんレコーディングをしたりしてたね。その後はレーベル絡みのことをやってたり……そんな風に過ごしてたら2年が過ぎてしまったっていう感じかな。

――荒削りなロックサウンドシングル「Wild Human Child」から、EP「Some Reptiles Grew Wings」でシンセ感溢れるサウンド方面に振りきれ、デビュー・アルバム「Good Don’t Sleep」はサイケな要素がプラスされたことで、3次元的な厚みが出たように感じます。今回は、どのようなことを意識したのでしょうか?活動を続ける中でで追求するサウンドの変化を教えて下さい。

Alexander:そうだね、サイケデリックな方向に音を持っていきたいとは思ってるね。ただそれだけじゃなく、プログレっぽさも持ち合わせているバンドでありたいなって思ってるよ。そこにエレクトロな要素が乗っていれば、なおいいね(笑)。とにかくいろいろなジャンルのサウンドを持ってるバンドがいいなと思ってるよ。

――ノスタルジックでドリーミーなアレンジが溢れかえっている中で、そこに収まらない要素としてオリエンタル、和洋折衷的なアレンジが「Egyptian Hip Hop」の持つポップ・センスの特徴だと思います。今作でもそれは引き継がれていると感じましたが、その辺りについてはいかがでしょうか? また、ご自身で考える「Egyptian Hip Hopのポップ」について、教えてください。

Alexander:そうだね、いろいろな要素が詰まったサウンドにしたいと思ってはいるからね。「Egyptian Hip Hopのポップ」ね……サイケデリック・プログレ・ポップって感じじゃない? ごちゃごちゃ語るよりシンプルでわかりやすいでしょ(笑)。

――今回のアルバムには、マリのアーティスト(「Yoro Diallo」)、イギリスのジャズ・ミュージシャン(「John Baker」)からインスパイアされた楽曲が収録されていますが、今一番魅力を感じる音楽はどのような音楽でしょうか? その音楽の要素を自分たちのサウンドに取り入れていきたいと思いますか?

Alexander:なんだろう……もっと宅録っぽい、そういう音をやってみたいなって思ったりはする。なんていうか……うーん。うまく言えないんだけど、とてもピュアな部分が引き出せそうな気がするし、家で録音することで居心地もいいし、クリエイティビティも増すしね。それに音もこじんまりしてるけど、正直な音が出そうな気がするんだよね。きっといい音になるんじゃないかと思うんだ。

――2009~10年にかけて「Ariel Pink’s Haunted Graffiti」「Is Tropical」などとツアーを回ったり、「80kidz」など日本のミュージシャンともすでに共演されています。他バンドとの共演で感じる、自分たちの魅力とはどのような点でしょうか?

Alexander:そうだな……あえて言うなら、僕たちの方が音楽的にバラエティに富んでるとかかな。

――今、最も刺激的なものはなんですか? 注目している音楽と、それ以外に楽曲づくりに影響を与えるものを教えてください。

Alexander:JAPANとかKing Crimsonもよく聴いていて、影響も受けているね。あとは、Ariel Pinkとか。

――これからは、どのような音楽性を突き詰めていきたいですか?

Alexander:もっと幅広いジャンルの音楽をいろいろ取り入れて行けたらなって思ってはいるんだ。それこそ、どんな形にも変形できるバンドでありたいと思っているからさ。


■New Release

Good Don’t Sleep [帯・解説付・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC349) / EGYPTIAN HIP HOP / CD ( Music )

BEAT RECORDS / R&S RECORDS( 2012-10-13 )

定価:¥ 1,851 ( 中古価格 ¥ 430 より )


Egyptian Hip Hop My Space