ウェブ上で楽曲を公開し、わずか半年ほどで瞬く間に世界中から注目を集めるバンドとなったZulu Winter。ビートの効いたダンサブルでポップなサウンドからなるメロディを耽美な世界観で包み込み、独特な神秘的空間を築いている。今年2月には、Hostess Club Weekenderで早くも初来日を果たし、若手バンドとは思えない圧巻のステージを見せつけた。5月2日にデビュー・アルバム『Language』をリリースし、極上のサウンドにのせ他を寄せ付けぬ美で、ますますの注目を浴びている。Weekend In The Cityでは、2月に来日したWill Daunt(Vo&Gt)、Henry Walton(Gt)のふたりに、バンドの結成から自らの音を分析してもらった。

Artist:Will Daunt&Henry Walton(Zulu Winter)
Interview & Text:Mio Yamada

――みなさん、来日は今回がはじめてですよね?

Will Daunt:そうなんだ。はじめだからすごく興奮している。(Hostess Club Weekenderが開催された東京・恵比寿のザ・ガーデンホールの)会場がすっごくキレイで音も良くてうれしいよ。イギリスは音も悪いからね(笑)。

――確かに環境は違いますよね(笑)。今回、Weekend In The Cityでの初インタビューですので、まずはバンド結成の経緯など伺いたいと思います。「Zulu Wnter」はバンドとしてスタートしておらず、成り立ちが面白いなと思って。

Will:そうだね。実際に、ふたりで音楽をはじめたのは15歳のころなんだ。それからずっと一緒に音楽をやっているけど、もともと別の名義で活動していたんだよね。ただ、当時は活動というよりも、楽器を習ったりする感じだった。大学に入ってから本格的に音楽のプロジェクトをはじめて、今とは全然違った音楽性のバンドで活動しながらいろんな音楽をつくっていたんだ。でも大学2年生のころに、音楽に対する姿勢っていうのかな、自分たちがやりたい音楽の方向性が違うことに気が付いたんだ。それで、当時音楽を出していたレーベルを離れて、ふたりで新しい音楽を書きはじめたんだよ。

Henry Walton:それがだいたい2年くらい前かな。最初は「音楽性が固まるまで絶対ライブはやらない」って決めて、音楽をつくりはじめてから半年くらい経ってはじめてウェブで公開してみたんだよね。そのくらいから本格的にZulu Winterとしての活動をはじめたから、まだまだ本当にフレッシュ。去年の7月くらいから本格的に始まった感じかな。

――もともと、ふたりがやっていたのはどのような音楽だったのでしょうか?

Will:うーん、難しいなあ(笑)。昔はもっとトラディショナルなギターとかやっていたんだけど、お互い仕事もしていたしあんまり深くやっていなかったんだ。どちらかと言えば、音楽を楽しむっていう感じだね。仕事後にみんなでリハーサルスタジオに入って音楽をつくるっていう。でも、Zulu Winterに関しては、きっちりと考えて音楽をつくっているよ。

――Zulu Winterをはじめて、本格的に活動をはじめようと踏み切ったはなぜでしょうか?

Will:本格的にやってみようと思ったきっかけは、「Let’s Move Back To Front」っていう曲かな。前のバンドをやっていたメンバーもそうなんだけど、「友人関係のままみんなで音楽を続けるか、バラバラに好きなことをするか」っていう岐路に立たされたときに、ちょうどこの曲ができて、みんなが「これだ」って確信が持てた曲だったんだよ。「もう一回みんなでやってみよう」っていうきっかけになったんだよね。この曲自体はアルバムのテンプレートになってすごくグル―ヴィーだけど、空間性があって、すごくポップで、だけどシンプルさもあって。みんながしっくりいった曲だったんだ。もう一度、みんなでやっていこうっていう気持ちが生まれたんだよね。

――「Let’s Move Back To Front」で思いがひとつになったときは、世界中でヒットしている今のこの状態は想像できました? 日本でパフォーマンスをするとか。

Henry:まさか! こんなことになるなんて想像もしていなかったよ!(笑) 普通のバンドみたいにツアーに出ることなんかも考えてなくて、Zulu Winterでレコード契約されるなんて思ってもみなかった。とにかく、アルバムをつくろうっていう気持ちだったんだ。だから、アルバムができた瞬間に契約が決まったり、レコード会社から日本に行くんだよって聞いたときはほんとに驚いたな。日本について14時間くらい経つけど、まだ一睡もしていなくて意識も朦朧としている。不思議な気持ちだね(笑)。

――(笑)。世界的に注目を集めたのはなぜだと思いますか?

Will&Henry:おおお……(笑)。

Will:本当に自分たちって人気があるの?って逆に質問したくなるくらいだよ。ただ、僕たちの音楽ってポップソングだけど、歌詞にはすごい切なさやメランコリックさ、美しい部分がある。今の時代、みんなそういう音楽を欲しているから、ベスト・タイミングだったのかもね。

Henry:僕たちの曲はすごいダンサブルなんだけど、心が動かされる部分がある。自分たちも男らしい音楽をつくろう、なんて意識を持ったことがないし。そういうソフトな感情的音楽を欲している時代にはまったのかも。

Phot by:古渓一道(Kazumichi Kokei)

――今までの話を聞いていると、「ポップ」という点を非常に重視していますね。

Will:そうだね! たぶん軸にあると思う。曲づくりをするときに、なんとなく決めるっていうよりも、軸になるメロディをつくっていくんだ。自分たちのなかで、メロディやタグラインがすごく軸になっている音楽性だと思う。僕たちは、「ポップ」ってすごくいいものだと思っているんだ。きちんとした形でつくることですごくいい音ができるから、自分たちの音楽のなかでも重要になってるんじゃないかな。

――Zulu WibterはColdplay、THE VACCINES、Friendly Firesと比較されることがありますが、私はちょっと違和感があって。彼らの持つ壮大なメロディとは別軸で、ダンサブルなビートを持ちながらスッと入ってくる感覚を感じていたのですが、フックになっていたのが「ポップさ」なんですね。

Henry:いいね、クール!

Will:昨日、ちょうどこの話をしていたんだよね! なんで僕たち比較されるんだろうって不思議だったんだ。THE VACCINESと自分たちは違う音楽だと思うな。そう言ってもらえるみたいに、僕たちの音楽はポップ・サウンドであることによってスッと入っていける。もっと幅広い人たちに届けられるっていうことはあるのかも。

――この半年は相当多忙だったと思いますが、密度の濃い時間から新作に影響はありましたか?

Will:音楽をつくる手法は変わってないかな。実はアクシデントがあって、The Horrorsと香港でやるツアーはキャンセルになっちゃったんだ。でも、Friendly FiresやBLADEなど素晴らしいバンドと一緒にするなかで、パフォーマンスの技術的部分だったり学べるところた刺激がすごく多かったよ。Friendly Firesからは、オーディエンスとどうやって対話をするのかとかアドバイスをもらったし。BLADEはテクニカルな面で、すごく的確なアドバイスをくれたんだ。

Henry:僕たちはポップさがキーワードになっているけど、ポップさのなかにも線があって、自分たちはここを越えたくないっていうラインがあるんだ。僕たちの考える線を越えているポップ・アーティストのライヴを観ることによって、自分たちはそラインを越えちゃいけないんだとか、空間的アートを残したいっていう気持ちを再確認することもあるよ。

――JETを手がけたことTom morrisと共同プロデュースをすることで、得る物ありましたか?

Will:実は彼は、バンドの6人目のメンバーって呼んでもいいくらい親しい人間なんだ。3、4年前に出会ってから一緒にやりはじめたんだよね。その間に彼から学んだことももちろんあるけど、どちらかと言うとお互い学び合っている感じかな。当時は僕たちもそれほどうまくなかったし、彼も今ほどよいプロじゃないった。そんななかで仲が良かったからこそ、僕たちは彼に自由さを提供できたし、僕たちも彼と一緒にやることで成長することができた。このアルバムをつくるななかでも、一緒に成長できたっていうことが大きいかな。

Henry:2年間の中で学んだのは、ポップ・レコードをつくるためには、必ずしもお金が必要ではないっていうこと。昔はレーベルにも所属していなかったし、予算もないなかでつくっていたので、本当にお金をかけられなかったんだ。メジャー・レーベルだと、いいアルバムをつくるには巨額の予算と有名なプロデューサーっていうイメージがあるけど、お金をかけないでもいいものができるんだ。

――(Hostess Club Weekenderで)日本初ライヴ、もうまもなくですね! 楽しみにしています!

Henry :本当にすっごい緊張してるよ!! 僕の人生のなかでも、ハイライトって呼んでもいいくらいだよ!


Zulu Winter日本オフィシャル・サイト