新世代シューゲイザー・バンドの筆頭格として世界中から評価を集めているThe Pains Of Being Pure At Heart。もちろんここ日本でも1st、2ndアルバムとリリースの毎に着実に人気・知名度共に上昇しており、昨年(’11年)は“FUJI ROCK FESTIVAL”にも出演を果たし、RED MARQUEEに溢れる程のオーディエンスを集めていたのも記憶に新しい。途切れることのない再来日を期待する声に応える形で、2月中旬に待望の東名阪単独公演を開催。同来日に合わせ、今なお名盤と呼声の高い1stアルバム『The Pains Of Being Pure At Heart』を、9曲のボーナス・トラックを追加収録して再リリースした彼らだが、3/21にはWashed OutやSaint Etienneなどの豪華リミキサー陣が手がけた日本独自企画のリミックス・アルバム『ACID REFLEX』もリリース予定! 彼らのこれまでの歴史と今後の動向を伺う絶好のタイミングの今来日、メンバーのKip(Vo&Gt)とPeggy(Key&Vo)に話を訊いた。

Artist:The Pains Of Being Pure At Heart
Interviewer:フクダショウコ

――フジロック以来の来日となりますが、半年ぶりの日本はいかがですか?

Peggy:今回はフリー・タイムが多くて、昨日と一昨日は8時間くらい東京の色んな所を歩き回って買い物したわ(笑)。

Kip:フリー・タイムがあること自体が少ないからね。フジロックの時も演奏してすぐ帰るって感じだったから、今回はオフの日があってとても楽しんでいるよ。

――今回の来日に合わせて、ボーナス・トラック付きで1stアルバム『The Pains of Being Pure at Heart』が再リリースされることになりましたが、最初にこの話を聞いた時はどう思いましたか?

Kip:素晴らしいアイデアだと思ったよ! 僕たちは日本のマーケットについてはそこまでよくわからないし、リリースの仕方も色んなやり方があるんだろうけど、アメリカでは19曲も入れて再パッケージするなんてことは聞いたことなくて。Painsの一時代がひとつにまとまったっていうのがすごく嬉しいね。

Peggy:「The Pains Of Being Pure At Heart」や「Higher Than The Stars」、「Say No To Love」とか、ボーナス・トラックに収録されている曲の中にはすごく好きな曲もいくつかあるの。でも7インチのBサイドの曲だし、もうソールド・アウトになっちゃってるから、ほとんどの人が知らない曲でもあったの。

Kip:今でもライヴで演奏している曲なんだけど、ライヴでその曲を知ってる人が増えるのは嬉しいよね。レコーディング・ヴァージョンはたぶん誰も知らなかったと思うから。

Peggy:よっぽどのレコード・コレクターじゃなきゃね(笑)。

――こうして再リリースされるということは、日本で確固たるファン・ベースが出来上がっているからだと思うのですが、お二人にとって日本はどういった地ですか?

Peggy:普段活動している所からこんなに離れた場所なのに、自分たちの音楽を聴いてライヴに来てくれる人がいるっていうことが、すごく不思議だし嬉しいわ。個人的な感覚だけど、日本人の音楽のセンスって最高! だって普通の音楽誌とか雑誌を見ていても、アメリカではほとんど知られていないような良いバンドの記事が載ってたりするから、本当に趣味が良いなって驚いちゃったの。

Kip:日本に来ることが、僕たちにとっての到達点のひとつでもあったんだ。すごく遠い地でPainsのリスナーがいるなんて、本当にありがたいことだよ。何千人っていうオーディエンスが歌っている様子をステージから見るのは、なんか変な感じなんだけど素晴らしい光景だよね。

――1stの再リリースに加えて、こちらも日本独自企画でリミックス・アルバム『ACID REFLEX』もリリースされますが、自分たちの楽曲をリミックスしてもらうことで新しく発見した点などありますか?

Peggy:「Strange」は私のボーイ・フレンド(The DrumsのConnor(Dr))がリミックスしてくれていて、実際ずっと横で様子を見ていてんだけど、この曲のギター・ラインに彼はものすごく取り憑かれてたの(笑)。他の曲もトライしてたんだけど、それは「大失敗!!」とか言って落ち込んでたわ(笑)。だから彼にとってリミックスしやすい曲とそうじゃない曲があるんだなあって思っておもしろかったわ。

――お気に入りのリミックスはありますか?

Peggy:私はWashed Outのが好きね。

Kip:僕はDJ Downfallの「Falling Over」が好きなんだ。この曲って、元はOrange Juiceっぽい曲だったのに、リミックス・ヴァージョンは初期のDepeche Modeみたいに聞こえるんだからビックリ(笑)。あとはSaint Etienne。彼らにはすごくインスパイアされてきたから実現して嬉しかったよ。Saint Etienneって、インディー・ポップとダンスの架け橋的な存在だと思うんだけど、僕が彼らを聴き始めた頃って、全然ダンスになんか興味がなかったのに、聴いて初めて踊ろうかなって思ったんだ。ただ、今でもダンス・ミュージックを聴いて、踊らないでじっとしてるのが大好きではあるんだけどね(笑)。

――今改めてこれまでリリースした作品を振り返ってみての印象は?

Kip:すごく正直に言うと、歌詞が良いのは1stで、曲が良いのは2ndかな(笑)。次はその両方をどうミックスするか(笑)。

――ははは(笑)。時間が経ったからこそ、そう思われているのでしょうが、そのように偏りが出てしまった原因は何だと思いますか?

Kip:自分で分析すると、1stは言葉遊びが多すぎたような気がするんだ。実際そういう批判もあったしね。だから、2ndはもっと直接的でアクセスしやすいものをと思って簡単なものにしちゃったんだけど、今思うとちょっと自意識が強すぎたね(笑)。あと1stって、自分たちのことをひけらかしてるみたいな空気があったから、2ndではそれを直そうと思ってたところはあるかな。でも、僕自身がそういう人間だからさ、そこを直そうとしたってしょうがなかった(笑)。

――Painsって大枠でシューゲイザー・バンドと捉えられることも多いと思うのですが、個人的にはこのジャンルって1回ハマってしまうと熱狂的になってしまう人が多いなと感じていて。お二人はシューゲイズについてはどう思っていらっしゃいますか?

Kip:自分としては、色んなバンドと比較されることでシューゲイズについて知っていったようなところがあるんだ。だから、実際にシューゲイザーの大ファンだったとかそういったことは今でもなくて。例えばMy Bloody Valentineについても、初期のアグレッシヴでポップな頃がすごく好きだしね。僕たちはポップ・ミュージックをやっていると思ってるから、シューゲイズっていうところに重点は置いてないんだ。

Peggy:自分たちはこういうサウンドが好きだっていうだけで、技術的なことにこだわってるっていうワケでもないしね。Pale Saintsとかもすごく好きなんだけど、ノイズを構築するみたいなことはやってないし……っていうか出来ないし。むしろ、ギターのジャカジャカしたポップな音が私は好きかもしれない。

Kip:言葉の問題だよね。だって僕はインディー・ポップでさえRamonesとかのことを指すんだと思ってたくらいだし(笑)。じゃあヘヴィーなギターがあったらそれがシューゲイザーなのかって言ったら違うっぽいし。むしろインディー・ポップの中でギターがラウドなものがシューゲイザーって呼ばれるようになったみたいな……、部分的なものかもしれないね。

――余談になりますが、マイブラと掛けているわけじゃないですが(笑)、一昨年(’10年)の来日もヴァレンタイン・デーの時期に来日されていましたよね。この季節とあなた達ってすごく合っているなあと思って……。

Peggy:ははは(笑)、そうね。

Kip:それはたぶん偶然じゃないかもしれないね(笑)。“My Bloody Valentine’s Day”って感じで、Kevin Shieldsが来れないから、Painsをって(笑)。

――ぜひ、毎年来てください(笑)。ちなみに、昨年の’11年はどういった年になりましたか?

Kip:去年すごく嬉しかったのは『Late Show with David Letterman』に出演したことだね。僕たちみたいなインディー・バンドが、あんな全国規模でネットしてるテレビ番組に出るなんてさ、15歳の頃の僕に聞かせたらビックリするっていうより、「え、David Lettermanの番組って、今大丈夫なの!?」って心配されちゃいそうなくらい、スリリングでエキサイティングだったね(笑)。

――昨年フジロックで取材させて頂いた時には、次回作の構想はまったくないとおっしゃっていましたが、現時点ではどうですか?

Kip:曲はたくさん書き貯めてるんだけど、そのどれがアルバムに入るかまではまだわからないかな。ひとつ言えるのは、Peggyのアイデアやヴァイブスを取り入れていこうかなって(笑)。ダンス・ミュージック的な要素だね、踊れる音楽を作ってみたいんだ。まあ、よりキャッチーでヘヴィーじゃない感じ。ちょっと曖昧になってしまうけど、今の段階ではこのくらいの曖昧な感じで留めておくよ。

Peggy:前の2作ってギター中心の楽曲が多かったと思うの。だから、今度はドラムンベースを取り入れてね……(笑)。

Kip:(ボイス・パーカッションを披露しながら)アシッド・ハウスとかね(笑)。とか言いながらThe Smithsみたいなアルバムを作るかもしれない(笑)。

――楽しみですね(笑)。では最後に、こうしてバンドの規模も大きくなっていて、成長したり変化したりしたなと感じている部分はありますか?

Kip:例えば、3rdアルバムで“成熟した”“大人になった”みたいなことって、みんな聞きたくないと思うんだ。僕たちはそうじゃない、まだまだ子どものまま。確かにそれはそれで問題なのかもしれないけど(笑)、メロドラマちっくな曲を書くところとか、昔から変わってないからさ。でも、どうだろ? Peggyは少し大人になったんじゃない?

Peggy:ううん、私も一緒よ(笑)。Painsをやることで、モラトリアムな時間を過ごすチャンスが与えられたっていうか……。結婚相手見つけなきゃとか(笑)、同い年くらいの人が直面する、人生の現実問題に向かい合わなくて済む状態になっているのかも。

Kip:友だちが自分の子どもの写真を見せてくれたりすると、「僕って現実からなんて遠いところにいるんだ! まだ17歳のままだよ!」って思ったりするよ(笑)。


■New Release

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よしもとアール・アンド・シー( 2012-03-21 )

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