サンフランシスコで注目を集めるシューゲイズ・バンドWeekend。Shaun(Vo&Ba&Bar Gt)、Kevin(Gt)、Abe(Dr)の3人からなるこのバンドは、Washed OutやBest Coastを輩出したレーベル“Mexican Summer”から最初のEP『All-American』をリリース。その後、The Pains Of Being Pure At Heartなどを擁する“Slumberland Records”より1stアルバム『Sports』をリリースし、PitchforkやNMEといったメディアで軒並み高評価を得たことで、現在の音楽シーンにもその名を連ねることとなった。リヴァーブの効いたヴォーカルと轟音とノイズで溢れるサウンドが創り出すダークで耽美な世界は、ポスト・パンク的な一面も見せている。’11年に最新EP『Red』をリリースしたWeekendだが、ついにここ日本でも同EPと1stアルバム『Sports』をコンパイルした『Sports + Red EP』を2/8にリリース。それに伴って東名阪を回る初来日公演を行なった。今後日本でも話題となるであろうWeekendのインタビュー、ぜひ今のうちからチェックしてもらいたい!

Artist:Weekend
Interviewer:フクダショウコ

――まずは結成のいきさつと、Weekendというバンド名の由来について教えて下さい。

Kevin:僕とShaunは12歳の時からの付き合いで、Abeとはサンフランシスコのアート・スクールで出会ったんだ。そこでバンドを組むことになって、’09年にやった最初のライヴから正式にWeekendとして活動してる感じだね。バンド名については、Weekendっていう単語がすごく曖昧でどうとでも解釈できるから、バンド名からサウンドのイメージがわからないような、そんな意味がないところが気に入ってつけたんだ。

――Weekendの楽曲は“終末”を感じさせるものが多いなと個人的に思っていて。これは日本語の問題なのですが、偶然にも“終末”とWeekendを意味する“週末”は読み方が同じなんです。だから、Wミーニング的でおもしろいなと思ったりしました(笑)。

Shaun:それはおもしろいね。僕たちの曲にも「End Times」っていう、まさに“終末”や“アポカリプス”を意味する曲もあるからね。

――今回初来日ですが、日本の音楽で好きなものはありますか?

Shaun:そうだね、BOREDOMSとか……。

Kevin:MONO。

Abe:GohstとかLes Rallizes Dénudés(裸のラリーズ)も好きだね。栗原ミチオのサイド・プロジェクトのThe Starsも好きかな。あとCanのダモ鈴木も好きだよ! まあ、彼を日本のバンドの人って言っていいかはわからないけど(笑)。

――最初にあなた達の楽曲を聴いた時は、The Jesus and Mary ChainやMy Bloody Valentineのような轟音シューゲイザーの印象を持ったのですが、聴き込んでいくうちにJoy Division的なポスト・パンクの要素も強く感じるようになりました。具体的に影響を受けた音楽はありますか?

Shaun:まさに君が言ったそれらのバンドの『Psychocandy』(The Jesus and Mary Chain)、『Loveless』(My Bloody Valentine)、『Unknown Pleasures』(Joy Division)っていう3つの作品は、僕たちにとって重要なレコードなんだ。だから、その要素を感じてくれたっていうことは正しいし嬉しいことだよ。ただ、1stの『Sports』を作った頃は確かにその影響が骨格としてあったんだけど、今はちょっと離れたところにいる気がしている。

――余談ですが、先日Iceageのライヴを見たんですが、彼らもポスト・パンク的な要素をすごく感じるバンドだなと思っていたところ、あなた達のFacebookページのお気に入りにIceageがあるのに気づいて。彼らとは繋がりがあるのですか?

Shaun:彼らとはデンマークの“Roskilde Festival”で一緒になったことがあるんだけど、僕は実際、ちゃんと会ったことはないんだ。Kevinは話したことあるんだっけ?

Kevin:近所のレコード屋でIceageがインストア・イベントをしたことがあって、そこでちょっとだけ話したんだよ。デンマークのポスト・パンク・バンドとして、生々しいことやっていてクールだなって思う。確かに同じポスト・パンク・キッズとして共感はできるんだけど、彼らはまだ19歳で若いだろ? どちらかと言うと躁的な感じがするね。もし19歳だったらあんな感じかもしれないけど、僕たちの方がちょっと落ち着いてるよね(笑)。

――Weekendは元々Washed Outなどを輩出したレーベル“Mexican Summer”から初めてのEPをリリースして、現在は“Slumberland”のThe Pains Of Being Pure At Heartとレーベル・メイトでもありますが、そうしたここ数年話題のチル・ウェイヴやローファイなサウンドなどの流れの中から見出された経緯があるかと思います。ただ個人的には、Weekendはそれとは違って独特だなと感じていて。例えば、しつこいまでに轟音でリヴァーブの効いたヴォーカルとか、ダークなところとか……。一線を画した存在だなと思っていますが、いかがでしょうか?

Shaun:そうやっていきなり同じ流行に乗せてしまうのは、メディアの怠慢だと思うんだ。最近は特に同じジャンルにカテゴライズしたがる傾向があるよね。

Kevin:僕たちとしては全然違うと思ってやっているからなあ。最初のEPでさえ、確かにローファイな要素はあるんだけど、きちんとした機材を使ってるし……。

Shaun:スタジオもね。

Kevin:そう。よく聴いてもらえば、ちゃんとしたレコーディング・スタジオで録音したものだってわかってもらえると思う。それをちょっとそういう部分があるからって「ローファイだ」って言って欲しくないし、チル・ウェイヴに関して言えば、自分たちは“アンチ”チル・ウェイヴって言ってるくらいの気持ちでいるよ(笑)。

――ははは(笑)。“アンチ”って、それはどうしてですか?

Kevin:バンドとしては、もちろん好きなものもいくつかあるさ。でも、自分たちがチル・ウェイヴと結び付けられるのは絶対嫌だね(笑)。

――2/8にリリースした日本盤『Sports + Red EP』は、1stアルバムと最新EPが一緒にパッケージングされていますが、それぞれの作品について、テーマやコンセプトに違いはありますか?

Shaun:違う時期にレコーディングしたものだから、やっぱり自然と違いが出た作品になっていると思う。特に『Red』の方は、1stよりもクリーンで自然なトーンで実験してみようって思って作ったものなんだ。でも、それぞれに何か別々のコンセプトがあったというワケではなくて、歌詞についても、人生における違う時期に自分が感じていたことがそのまま出ているだけだと思う。

――確かに『Red』の方がヴォーカルが少しクリアになっているなと感じました。

Shaun:そうだね。1stの頃は声を楽器として使おうと思ってたところはあるかな。でも『Red』では、歌詞で楽曲のフィーリングを伝えたいっていう気持ちがあったからね。あとは、昔よりもシンガーとして自信が出てきたというところもあるかもしれない。

――『Red』収録の「Hazel」は、飛び抜けてポップな曲でこれまでで一番際立っているのが印象的でした。作曲面でも何か変化はあったのでしょうか?

Shaun:「Hazel」があんな風にポップになったのは、特に何か考えてそうなったワケじゃなくて、すごく自然なことだったんだ。一晩で出来て書いちゃった曲だし。だから何でキャッチーになったのかっていう答えはなくて。ただ、僕たちは元々ポップなものに興味はあったからね。

Kevin:ポップ・ソングを書くっていうのは、ノイズ的なものと同じくらい僕たちにとって重要なことで、1stの頃はその二つの間で何ができるかっていう感じだったんだけど、最近は両極化してるって言うか、それぞれを押し出していっているんだ。だから、ポップなものはよりポップになっているのかもしれないね。

――ちなみに“Sports”も“Red”もビッグ・ワードですが、作品タイトルもバンド名と同じように、曖昧で特定の意味を持たせないようにしたかったのでしょうか?

Shaun:僕にとっては、どちらもそれぞれの作品をきちんとレペゼンしたタイトルなんだ。もちろん僕の方がリスナーよりも内容に近い立場にいるからそう感じるんだけど。でも、次回もこういう曖昧なワードがタイトルになるかどうかはわからないよ。もっと具体的な言葉を選ぶかもしれないし。ただ、テーマとして捉えるにあたっては、曖昧な部分を残しておきたいし、その方が色んな人が色んな部分で共感してくれると思う。

Kevin:誰かが作品を聴く人に「これはこういうものだ」って説明するような、そういうタイトルにはしたくないかな。やっぱり、そこにリスナーの想像の余地は残しておきたいしね。

――ジャケットのデザインもそうですよね?

Shaun:デザインで重要なことは強い印象を与えることだと思う。すぐに目に付くものであるべきだし、そこをアートワークで大事にしているよ。で、そこを突き詰めると、ものすごくシンプルなもの、例えば幾何学的な模様や単色になるんじゃないかな。だからこんな風になったんだと思う。それに文化圏で限定されないもの、特定の地域じゃなくても共有できるものをモチーフとするならば、やっぱりシンプルなものになるだろうしね。

Kevin:エモーションを表現しようとすると、何か特別な言語や形で表現するんじゃなくて、もっと抽象的で漠然としていて、でもみんながわかるものをってなるんだ。

――日本で共演するThe Pains Of Being Pure At Heartとは、これまでも一緒のステージに立たれていますが、同じ要素がありつつも両極なところにいるバンド同士ですよね。どんなステージになるでしょうか?

Shaun:不思議とクロスオーヴァーするオーディエンスが多いんだよね。

Kevin:もちろんどっちかだけ好きっていう人もいるんだけど、むしろ違うところを楽しんでいるファンが多いような気がする。

Shaun:実際同じようなバンドが出てくるよりも、何か違う側面が見えるバンドが同じステージに立つ方が、自分としてもおもしろいからね。

Abe:僕らとしては、いくらでも盛り上がって欲しいし、騒いで欲しいと思ってるよ(笑)。


■New Release

スポーツ+レッドEP / ウィークエンド / CD ( Music )

よしもとアール・アンド・シー( 2012-02-08 )

定価:¥ 2,365 ( 中古価格 ¥ 632 より )


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