’03年にリリースしたデビュー・アルバムたった1枚を残して解散してしまった22-20s。しかし今から2年前の’10年に奇跡の再結成を果たし、2ndアルバム『Shake/Shiver/Moan』をリリース、再びシーンにカムバックしその輝きを取り戻した。フジロック出演を含む復活後のツアーでは、ブランクを感じさせない存在感のあるステージを見せ、彼らが決して失われてはならない才能であったことを証明していたのではないだろうか。そして来る3/7、待望の3rdアルバム『Got It If You Want It』をリリース。よりブルーズ色が強く、彼らの原点に近づいたという今作は、失望や挫折といったテーマが提示されつつも、何かそこに力強い確固たる自信を感じさせる作品である。ようやくバンドとしてのコンスタントな活動ペースを取り戻した彼らが、この作品に込めた意志とは何なのか、その本質に迫る!

Artist:22-20s
Interviewer:フクダショウコ

――まず、前作で復活を果たしツアーを回り、改めてシーンに戻ってきてみての率直な感想を教えて下さい。

Martin Trimble:(1stをリリースした後とは違い)またこうしてレコードが出せたことにまずは本当にほっとしてる(笑)。今はそれが嬉しいって感じかな。

――今回、楽曲制作の地にアメリカを選び、レコーディングは母国イギリスに場所を変えて行なわれたのは何故ですか? また、それぞれの土地が今作に影響を与えた部分があれば教えて下さい。

Martin:それが一番リーズナブルだったんだ。まず、Jamesが恋人と暮らすためにミネアポリスに引っ越したんだけど……今は僕もミネアポリスにいるんだけど、ここで家を借りるとかなり安いことがわかって。で、GlenとDanも呼んで、4人で冬の間6週間、一軒家にこもって曲を書いていった。冬の間は気温がマイナス30度くらいになるんだよ(笑)。だから他になんにもやることがないし、地下室に機材を持ち込んで、そこでやってたから、本当に隔絶された状態だった。まったく外を見ないような日もあったしね。それには影響を受けてるだろうな。外のことはまったく気にせず、今どんな音楽が流行ってるかもまったく知らず、自分たちの小さい世界にこもりきってた、ってところで(笑)。で、レコーディングは僕らの故郷のリンカンシャーに戻ってやったわけだけど……それにもたぶん、影響は受けてると思う。自分たちが17、18だった頃を思い出させるものがたくさんあったからね。ただ、意識的にそうやったってことじゃなくて、結果的にそれがこのレコードに影響したんだと思う。

――楽曲制作の3ヵ月間、またレコーディングの6日間、そのそれぞれの期間はどういったものだったのでしょうか? 何か印象的なエピソードはありますか?

Martin:えっと……実はあんまり覚えてないんだ。ずっと赤ワイン飲んでたから(笑)。レコーディングは、Neil Youngのテキーラ漬けのセッション、みたいな感じだったんじゃないかな。全員一つの部屋で、赤ワイン飲んで、一晩中徹夜で演奏してる、みたいな。だから、特に出来事が印象に残ってるっていうよりは、全部がぼんやり繋がってる感じ。もちろん、最高に楽しかったんだけどね(笑)。

――22-20sを語る上で欠かせない“ブルーズ”は、ご自身たちにとっても作品ごとに変化しているかと思います。1st、2ndと比較して、今作における“ブルーズ”はどういったものとして捉えていますか?

Martin:ブルーズだけじゃなく、アメリカにはブラック・アメリカン・ミュージックの豊かで長い伝統があって、本当に素晴らしいものを生み出してきてる。で、その一方で、イギリスにはそういうアメリカ音楽を取り込んで、よりグルーヴにフォーカスした音楽を生み出す伝統があるんだよね。The Rolling Stonesだけじゃなくて、The Beatlesさえそういうことをやって、それがまたアメリカに輸出されていった。僕らはそういう伝統に連なりたいと思うし、ただそれには昔の音楽を模倣するだけじゃなくて、それを咀嚼してどう取り込んでいくかに関わってるんだと思う。そこを僕ら、今は前より理解してるんだ。よりブルーズのあり方を深く理解したというか。1stの頃はまだ浅かったんだよ(笑)。

――今作は原点回帰に近い作品ということですが、このタイミングで原点に帰る意識が芽生えたのは何故でしょうか? そこには前作の手応えやリスナーからの反応なども関係していますか?

Martin:いや、特に前作に対するリアクションっていうことじゃないと思うな。そう言うと、この前のアルバムを気に入ってないとか、今回のアルバムについてあらかじめ計画して、考え抜いたっていう含みが出てくるかもしれないけど、そうじゃなかったから。それより、今回は自分たちから自然に出てくるものを、より削ぎ落とした、生々しい形でとらえようってことだったと思う。正確に言うと、このアルバムはブルーズのコード進行から離れてるところも多いし、そんなにブルーズへの回帰作ってわけじゃないんだよね。よりシンプルにはなってるけど。ただ、僕らは16、17の頃に聴いてたアルバムをまたよく聴いてたし……その意味では、ルーツに戻るような部分はあったかもしれない。それが今の僕らのフィルターを通して出てきてるっていうか。でも、2ndでやったようなハーモニーもたくさん今作には残ってるし、やっぱりこれまでやってきたことが全部混ざってるんじゃないかな。それがよりストレートに表現され、プレイされてるだけでね。

――2ndアルバムは22-20sらしいブルーズ色の中に、よりポップなギター・ロック的要素を取り入れ、変化を見せたアルバムで、復活作としても相応しい素晴らしいアルバムだったと思います。そして再度昔の自分たちを肯定するべく生まれた、原点回帰となる今作を完成させた今、前二作をどのような作品だったと捉えていますか? 意識やアプローチの変化などもあったのでしょうか?

Martin:1stの時は、僕らが夢中になってた音楽をそのままやろうとしてた。今聴いても好きな曲はもちろんあるんだけど、それからブルーズ・バンドっていうレッテルを貼られて、それがハイプになっていくうちに、バンドを疲弊させてしまった側面があったわけだよね。1stによって、22-20sがリプリゼントするものがごく狭い意味で決められてしまった。だからこそ、2ndを作る時には、僕らはギター・バンドとして自分たちに何が出来るのか、いろいろトライしてみたわけだけど、今になるとちょっとそれにとらわれすぎてた感じもあるな、正直言って。そこにこだわるあまり、自分たちの身の丈に合わないこともやろうとしてた気がする。2ndの時はバンドの可能性を探ろうとしてたから、いろんなタイプの曲を試したし、自分たちでもいろいろ考え直したし……2ndは、プロセスとしては試行錯誤の上で出来たアルバムだったね。だから今回のアルバムと比べると、昼と夜くらいに違うプロセスだったんだ。

――今作は原点回帰というだけではなく、失望や挫折といった、過去があるからこそ生まれるテーマが新たに加わっています。これは、これまでの解散~復活というご自身たちが経験が関係しているのでしょうか?

Martin:そうだね。でも、今回のアルバムの曲は『こういうことについて書こう』と思って歌詞を書いたわけじゃないんだ。特に、バンドの解散についてはあんまり関係ないかもしれないな。それよりも、この2年間で起きたこと……やっぱり、ツアーもあるよね。ツアーが続くと、もちろんその時々にはすごく楽しいこと、エキサイトすることも起きるんだけど、長くなると疲れてきて、自分の日常とすり合わせるのが難しくなってくる。僕らの中でもこの2年の間にいくつかリレーションシップが壊れたし、亡くなった人も数人いた。そういうことが言葉の端々に出てきてるんだと思う。実際、失恋や傷心について書かれてる曲がかなりあるんじゃないかな(笑)。具体的にそういったことについてでなくても、男女の関係みたいに書かれてる歌詞もある。そうするとより普遍的な意味を持つようになるからね。たぶん、僕らの場合はそういったこと……孤独感や、何かしら重荷になってるようなフィーリングが曲を書く時に浮かび上がってくるのかもしれない。

――失望や挫折といった、一見ネガティブなテーマを扱っているにも関わらず、今作はサウンドだけではなく演奏やヴォーカルもとても力強く響き自信に満ちています。大きな失望によってその場に立ち止まってしまうのではなく、それを自信に変化させる前へと進んでいるような印象を持ちました。

Martin:そうそう、前作のUSツアーの時に自分たちに関して色々と再発見ができたんだけど、その自信が今回のアルバムを作る上で、大きな力となった。そうした自信が僕らにはこれまで、特に1stの頃にはなかったってことだと思う。音楽のスタイルというより、そこが一番バンドとして変わったところじゃないかな。僕らの傾向として……特に僕は、すぐに考え直してしまうところがあるんだ。で、必要以上に変えてしまったり、あれこれ悩んだり。でも今回は、バンドとしての自分たちに前より自信があった。人がどう言おうと、それを気にしちゃいけないってこともわかってたしね。

――前作リリース時、そしてフジロックを含む来日公演は、大きな話題となりました。この作品についても、日本でのライヴで聴けることを期待しても良いでしょうか?

Martin:フジはもう、ほんとに素晴らしい体験だった。当時はちょうど他のバンドのサポートだったり、アメリカで小さなクラブをツアーして回ってるところだったから、大きなフェスなんかに出ても、本当に人が来てくれるかどうかさえわからなかったんだ。でも、あれだけ大勢の人が観に来てくれたんだ! 圧倒的だった。その後のツアーもほんとに楽しかったよ。そう、5月にツアーすることが決まってる。今新曲をリハーサルしてるところなんだ。


■New Release

Got It If You Want It 【初回限定盤】 / 22-20s / CD ( Music )

よしもとアール・アンド・シー( 2012-03-07 )

定価:¥ 2,674 ( 中古価格 ¥ 531 より )


22-20s日本オフィシャル・サイト
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