’10年にリリースされたミニ・アルバム『Wimmy』が、NME年間ベスト・アルバムにて32位を記録するなど、ウェールズはカーディフ出身のIsletは、現在UKを中心に注目度を増している4人組のバンドだ。全体的に漂うノイジーなサウンドと破壊と再生を繰り返すようなドラム、不穏に響きながらも希望の光を与えるようなコーラス……とにかく簡単には形容できないサウンドでありながら、一度その魅力に取りつかれてしまうと、どっぷりその世界にハマってしまう中毒性を備えている。しかしこれだけ話題となっておきながら、彼らにはSNS等のアカウントがなく、公式な情報を手に入れるには彼らのオフィシャル・サイトからのみとなっていて、なかなかその詳細が明らかではない。さらに“バンド”とひと言に言っても、決まったパートが存在しないというスタイルをとるなど、バンドとしての在り方も実にユニークだ。そんなIsletだが、1/11に新作『Illuminated People』をリリースし、それに伴い1/28(土)に開催された“RADARS”へ出演、噂通りの驚愕のステージを見せ、初来日公演を成功させた。未だベールに包まれた彼らの謎を紐解くべく、インタビュー取材を敢行! その素顔に迫った!

Artist:Islet
Interviewer:フクダショウコ

――Isletについては本当に情報が少なくて……(笑)。始めにバンド結成の経緯を伺いたいのですが。

Emma:私が最初にMarkと出会って、その後すぐに兄弟のJohnとも知り合いになったの。

Mark:その時はそれぞれが別々のバンドを組んでいたんだ。

Emma:お互いライヴで対バンをすることも多かったから知り合いになったのね。そうこうしてるうちに、私がMarkと付き合うことになって、バンドも一緒にやってみようってことになって。それでジャムったりしてるところにJohnが加わって、その後Alexも参加して……という風にバンドが始まっていった感じね。

――決まったパートがなかったり、それぞれがヴォーカルをとったりと、元々から変則的なスタイルのバンドにしようと決めていたのでしょうか? それとも結果的にそうなったものですか?

Mark:結果的にと言うより、自然とこうなったね。何かを決めたりせず、それぞれが色んなことをやって楽しみながら始まったバンドだからね。

Emma:みんなが様々な楽器をやったり歌ったりしていたから、パートを決めることが出来なかったの。だから本当に自然に自由にやっていたのよ。

――バンドを組むにあたって、お互いに共鳴する部分があったのですか?

Mark:何かを表現する時に、僕たちは人間そのものを表現するような音楽を作りたいって思っているところがあるね。

John:最初はダンス・ミュージック的な踊れる音楽を作ろうって思ってはいたんだけど、割れたサウンドも好きだし……、とにかく色んな音楽が好きだから、そういう僕たちが好きな音楽の要素が集まっていってこうなった気がする。

Emma:4人ともライヴをやるのが大好きっていうところも共通しているかしら。曲作りやレコーディングの方が好きっていう人もいるかもしれないけど、私たちはライヴも大好きで、そこで自分たちのことを表現するのが好きなのよね。

――では、他のバンドとIsletの違いとは何だと思いますか?

Emma:バンドの何が良いとか悪いとかって聴く人が決めることだから、私たちが言えることではないんだけど……、個人的にIsletの好きなところは、何でも新しいアイデアが試せるってことかな。「こういう風に音楽を聴いてもらいたい」とか「こういう音楽を作らなきゃ」とか、そういう決め事が全然なくって、やっていて本当に楽しいの! それがこのバンドの良いところね。

――そう思うのは、やはり今の音楽シーンやバンドなどがルールに縛られていると感じる部分があるとか?

Mark:うーん(笑)。僕たちはいわゆる“バンド”っていう風なメンタリティとかじゃない部分で、すごく共通項がある気がするんだよ。うまく言えないけど……、そうだな、“バンド”って言うより“アーティスト”っていう意識。時々、イギリスでは僕たちと他のバンドを比べてどうこうって言われたりもするんだけど、自分たちにとってはそういうのってあんまり意味ないんだ。

Emma:別に私たちの方が上だとかそういうことではなくて。もちろん、イメージがちゃんとあるような、バンド然としている人たちのことも好きなのよ。ただ、私たちはそういうのがやりたいワケじゃないのよね。

Mark:まあでもさ、5年後には革ジャンにスキニー・パンツ履いてるかもしれないよ(笑)。

Alex:わーお! それってすっごくクール(笑)!

――今のお話を訊いていて、アートという大きい括りの中で表現したものが、Isletにとっては音楽なのかなと感じました。

Mark:そう、まさに、その通りだね。

――Isletには、現在ミュージシャンのほとんどが使っているtwitterやfacebook、myspaceといったアカウントがないため、先ほど言った通り、情報がなかなかキャッチできなくて……(笑)。敢えてバンドのことをそこまでオープンに公開していなようなのですが、何か意図があるのですか?

John:匿名でありたいというよりは、自分たちのことを押し付けたくないんだ。例えばfacebookとかを使うと、「僕たちのこと好きになって!」「気に入って!」「CD買って!」っていう感じになってしまう気がしていて……。それよりはむしろ、自分たちのWEBサイトを作って、聴きたいって思ったり、見たいなって感じた人が、その時にコンテンツにアクセスできるようにしていきたいんだ。

Emma:別に神秘的になりたいワケじゃないの。こうやってインタビューを受けて、私たちのことを知ってもらうのも好きだしね。

John:一方的に何かを押し付けるよりも、双方向のやり取りがあると良いと思うんだ。

Mark:レーベルがそういうことをやってくれているんだけど、もし僕たちのことを謎めいた感じにしたいんだったら、一切取材は受けないっていうプロモーション方法だってあるだろうし。

Emma:素敵なミュージック・ビデオもみんなに見てもらいたいし、もちろん音楽だって聴いてもらいたいからね。

Alex:facebookみたいなPRツールだと、「いいね! いいね! いいね!……」だけで、コミュニケーションとしても、その楽しみが半減してしまう気がする。だから使ってないだけだよ。

――デメリットに感じる部分はないですか?

Mark:そういうこと全部やってるのに、日本に来ることができないバンドもいくらだっているだろ(笑)。僕たちは使わないでもこうやって日本に来てライヴをすることができてるからね。その部分で不利に感じる部分はないよ(笑)。

――確かにそういった状況の中で、こうやって知れ渡っていったということは、そこにIsletの音楽に真の価値があったからだと思っていて。その辺りについてはどう思いますか?

Mark:自分たちのことを表現するために、すごく努力をしているんだ。だから、ただラッキーだったからじゃなくて、そういう部分がわかってもらえた結果だと思うんだ。僕たちのやっていることを信じてもらえたんだと思う。

Emma:でも私たちU2じゃないし(笑)。Isletのことを知らない人はいっぱいいるから、ものすごく成功しているバンドってことが言いたいワケじゃないわ(笑)。

Mark:WEBサイトを作って自分たちの音楽をストリーミング配信したり、やれることはやっているので、みんなが聴いてくれたんだろうね。

――今作はDrew Morganのプロデュースによるものですが、彼との仕事はどうでしたか?

Mark:とにかく楽しかったね! あれだけ色んな音楽を知っていて知識もある人ってそうはいないから。

John:ディテールまで気を配ってくれるし、スネア・ドラムの音ひとつにしても「違う違う、そこはもっとゆっくりだよ」とか、すごく正確に捉えてくれるからね。前の2作が悪かったワケじゃないけど、これだけクオリティの高いサウンドを出せるっていうのは、僕たちにとってやってみるチャンスでもあったんだ。それを逃す手はないだろ。

Emma:自分たちだけだと、お互いをサポートしたり励ましあったりするような形になりがちで、そこが私たちの課題だったんだけど、まったく外からの視点で「それ良いね!」「今のはあんまり良くない!」って指摘してもらうことができたから、技術的にもすごくプロ意識が高くなったと思うわ。

Alex:あと、スタジオにちょっと怖い人がいるってだけで、パフォーマンスもベストを尽くそうっていう気持ちになれるから、それが自分にとってはすごく良かったと思う。

Emma:バンドの関係性もすごく重視する人で、自分たちでは気づかずにやっていることを、外側から見ながら、良い部分をその瞬間に最高のものとして引き出す方法を考えてくれたりしたわ。

――楽曲面で、これまでDIYで制作していた頃と比べて、変化があった部分はありますか?

Emma:レコーディングに入る前に、曲の構成や最終的な形は決めているから、そこからサウンド面でアイデアが加わることがあっても、曲作りにおいて影響はなかったわね。

Alex:ただ音楽的に影響を受ける部分はすごくあったよ! 一度、フェスでのステージを観に来てくれたんだけど、後で「ベースを強く叩きすぎ! もっと落ち着け!」ってアドバイスをもらったんだ(笑)。

Emma:ふふふ。私はレディング・フェスティバルの時に「1曲、ヴォーカルが全然聞こえてなかったよ!」って言われたわ(笑)。

Mark:僕は「マイクの使い方が違う」って言われた(笑)。そういう細かいところは、色々教えてもらったよ(笑)。

――曲ごとはもちろん、1曲の中での振れ幅や展開がすごく大きいですよね。制作過程でそうなっていくものですか? ゴールは見えているのですか?

Mark:曲ごとに違うかな。

John:作っているうちにどんどん変わるから、決まったビジョンはないんだ。

Emma:ちょっと待って! ある時はあるわ(笑)。でも、例えば私がイメージしているものがうまくいかなくて、結局最初からやり直し、なんてこともよくあるけど(笑)。

Mark:どの曲でもそれは言えるね(笑)。でも、確かに言えることがあるとすれば、それはその曲を信じることかな。あとは、自分たちが同じフィーリングでいるかどうか。

Emma:全員が熱中できるようなものじゃなければ、原型を留めないくらいに曲を変えてしまうことだってあるの。

――Isletの曲はライヴでもどんどん変化していきそうですよね。そういう意味で正しいテイク、というものがないように思うのですが、楽曲として形にすることのポイントはありますか?

Mark:自分たちが信じていることは、レコーディングにおいてもライヴにおいても、その瞬間に忠実であるっていうこと。だからレコーディングの時は、これが最高の瞬間だったっていうことなんだよ。

John:その時のエモーションに忠実だから、ライヴでどんどん曲を変えることだって怖くはないんだ。とにかくその時を楽しむことが大事なんだよ。

Mark:色んな曲を断片的に演奏して、メドレーみたいにしてやることだってあるしね。

Emma:自分達が納得いくまで変えたり、だれかひとりがずっと拘っていることがあれば、それをとことん追求したり……。そういうことは全然あるし、逆にそれを元に戻すことも全然あり。とにかくその時の気持ちに忠実であることが、私たちにとって大事なことだと思うの。


■New Release

イルミネイテッド・ピープル / アイレット / CD ( Music )

よしもとアール・アンド・シー( 2012-01-11 )

定価:¥ 2,365 ( 中古価格 ¥ 380 より )


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