“台湾のナンバーガール”として、ここ日本でも注目度急上昇中の透明雑誌。7/13には、’07年に台湾で自主制作されていたEP「透明雑誌」収録の全4曲をボーナス・トラックとして収録したデビュー・アルバムを、『僕たちのソウルミュージック』と題して日本でもリリース。このアルバムが本当に良いんです! 確かに“台湾のナンバーガール”と評されるだけあって、全体に漂うナンバーガール節は、あの世代を生き抜いた私としてはちょっとグッときてしまいます。懐かしくてあの頃にフラッシュバックしてしまうような…。

でもじっくり聴き進めていくと、パワーポップの雰囲気が色濃く表れた楽曲や、ヒップホップを意識した楽曲が多いことにも気づきます。ああ、きっとWeezerとかも大好きなんだろうなって、「少女」とか聴くと思いますね。Beastie Boysのような“何でもアリ”感もヒシヒシ伝わってきます。でもこういう“○○らしい”っていう論調は、時としてネガティヴな印象を与えることもありますが、彼らに至っては完全に味方につけているのではないでしょうか。これまで無邪気に聴いてきた音楽が、とてもわかりやすい形で彼らの音楽の血となり肉となっている。これってとても健全なことだと思うのです。そこには、ただただ自分達が好きな音楽に対する好奇心とリスペクトを感じるのです。

彼らは8月末に初のジャパン・ツアーを行ない、私もWOMBでの公演を観に行きましたが、フロア・ライヴということもあって、まさにメンバーと観客が一体となったライヴ。そこに言葉の壁などは微塵もなく、ただひたすらにお互いの音楽に対する愛情だけが溢れたとてもピースフルな場だったことを記憶しています。

この日本での状況を受け、透明雑誌2度目のジャパン・ツアーが早くも開催! ということで、去る10/31(月)、意気揚々と(笑)渋谷CLUB QUATTROでの東京公演を観に行って行きました! 同公演はHMVがブッキングするライヴ企画“HMV THE 2MAN”の第2弾で、当日はオープニング・アクトにoono yuuki、対バンに宇宙人という濃い上に話題のラインナップということもありましたが、それを差し引いても大入りのオーディエンスした!

そんな中、ついに透明雑誌が登場し、「夜明け晩餐」からライヴがスタート。2ヵ月ぶりに観た彼らは、この彼らを取り巻く状況をそのまま体現したかのように、とにかく登場時から放たれる勢いには凄まじいものがありました。続く「DICTATOR GIRL」はイントロからナンバーガールを彷彿とさせるけれども、ライヴが始まってしまえばそんな枕詞はもう関係ない! 構えて観ていたとしても、無意識に引きこまれてしまっていた人も多かったと思います。

歪んだギターのリフが透明雑誌の楽曲の特徴ですが、「ANORAK」「僕たちのソウルミュージック」のような、ハチャメチャにぶちまけるようなパンクな曲もあって、そこから繰り出されるのは、衝動! 衝動! 衝動! そう、透明雑誌の魅力というのは、彼らから放たれる“むき出しの音楽愛”。自身の衝動から向けられるまっすぐな想いというのは、時にまぶしすぎて受け止め切れないこともあるのですが、彼らが放つ純粋なまでのパワーは、受けて側の中の衝動さえをも解放する鍵になっているのだな、とこの日は改めて実感しました。

“恥ずかしくて言い辛い!”とヴォーカル洪さんが前置きした新曲のタイトルは、なんと「透明雑誌FOREVER」!! つまり“透明雑誌よ、永遠に”。最高のタイトルですね…(ため息)。曲自体も、透明雑誌というバンドをすることに対しての喜びが溢れたような名曲。いつかオーディエンスも一体となって大合唱する、そんなアンセムになることを予感させました。そして透明雑誌の代表曲「性的地獄」!! 彼女/彼氏がいない子たちへ向けて、あの自分では消化できない、どうしようもない気持ちに応えた同曲、会場全体から歓声が上がっていました。本当、自分もびっくりするくらい飛び跳ねてしまいましたね。この曲を前にすると理性が吹っ飛ぶようです(笑)。これだけ衝動を刺激する曲も滅多にない気がします。

ラストの「時速160kmのギター、ベースとドラム」で、その名の通り疾走するギター、ベース、ドラム。あっという間に過ぎゆく時間、名残惜しい気持ちを敢えて高速で駆け抜ける。それもとっても彼ららしくて良かったと思います。まさに今の透明雑誌の状況そのもので、ここで立ち止まるワケにはいかないんだというように。当然、アンコールを求める拍手も鳴り止むことはなく、再度登場した透明雑誌が披露したのは「世界はやはり滅びたらいい」。例え世界が終わっても、きっと歌い続けるんだろうなと思わせる、そんな彼らの音楽愛が、この日最後の最後までずっと胸に響いて来ました。

むき出しの彼らの音楽愛が、いつの間にか私たちの衝動までをも心の底から引っ張り出してくれる。久々にそんな音楽が持っているマジックを体感しているような気がします。透明雑誌、きっとまたすぐ日本に戻ってきてくれると思います。その機会を絶対に逃さないようにして下さい!!

透明雑誌オフィシャル・サイト

Text by:フクダショウコ